制裁

米国、ロマンス詐欺対策に向けた新たな「Scam Center Strike Force」の設立を発表―OFACは暗号資産投資詐欺に関与するグループを制裁

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要約

米国司法省は、主要な連邦法執行機関および関連機関と連携し、東南アジア発の暗号資産関連詐欺やスキャムから米国を守る初のScam Center Strike Forceの設立を発表しました。
OFACは、米国人を標的とするサイバー詐欺拠点を運営しているDemocratic Karen Benevolent Army(DKBA)および関連組織を制裁対象に指定しました。
OFACのプレスリリースによると、2024年にアメリカ人は東南アジア拠点の詐欺組織によって少なくとも100億ドルの被害を受けており、前年比66%増となっています。
この措置は、強制労働を使って詐欺コンパウンドを構築し、暗号資産投資詐欺を行っているTrans AsiaやTroth Starといった企業を標的としています。
今回の制裁は、昨年10月の歴史的なPrince Groupへの措置に続くもので、米国がロマンス詐欺(pig butchering)を支えるインフラの撲滅に継続的に注力していることを示しています。
Strike Forceはすでに4億1000万ドル超の暗号資産を差し押さえており、さらに8000万ドルの没収手続きを進行中です。

 

2025年11月12日、コロンビア特別区米国連邦検事は、連邦捜査局(FBI)および米国シークレットサービスと共同で、東南アジアの大規模詐欺拠点とそのリーダーを捜査・撲滅・起訴するための専任タスクフォース「Scam Center Strike Force」の設立を発表しました。同時に、米国財務省外国資産管理局(OFAC)は、ビルマ(ミャンマー)を拠点とする武装組織Democratic Karen Benevolent Army(DKBA)とその幹部4名、および中国系組織犯罪と連携する企業を、米国人を標的にしたサイバー詐欺拠点の支援を理由に制裁指定しました。

東南アジア詐欺による100億ドル超の損失

東南アジア発の暗号資産詐欺は危機的な規模に達しています。米国政府の推計によれば、2024年にアメリカ人は東南アジア拠点の詐欺組織によって少なくとも100億ドルの被害を受けており、前年から66%増加しました。これらの損失の大半を占めるのが「ロマンス詐欺(pig butchering)」と呼ばれる手口です。加害者は数週間から数か月かけて被害者と信頼関係を築き、偽の暗号資産投資プラットフォームに投資させて資金を騙し取ります。

FBIは積極的な被害者通知プログラムを通じ、過去15〜16か月で6,300人以上の潜在的被害者に連絡し、推定2億7500万ドルの追加被害を未然に防ぎました。また、米国シークレットサービスは2025年度だけで暗号資産投資詐欺に関する被害相談約3,000件に対応したと報告しています。

DKBAと詐欺コンパウンドの実態

ビルマ軍政を支援する武装組織であるDKBAは、カレン州ミャワディ近郊のTai Changコンパウンドなど、主要な詐欺拠点のある地域を支配しています。このコンパウンドはDKBA准将Sai Kyaw Hlaと、タイを拠点とするTrans Asia International Holding Group Thailand Company Limitedが設立し、中国系組織犯罪のフロントとして機能しています。

今回の制裁は、昨年10月のPrince Group国際犯罪組織(TCO)および関連146組織への前例のない指定に続くものです。Prince GroupもDKBAと同様、カンボジア全土の詐欺コンパウンドを支配し、強制労働下でロマンス詐欺を行っていました。10月の措置では、Prince GroupのリーダーChen Zhiが支配する約127,000ビットコイン(約150億ドル相当)の民事没収も対象となりました。

今回の指定には暗号資産アドレスは含まれていませんが、これらの詐欺は暗号資産に大きく依存しています。ロマンス詐欺は、被害者に一見正規に見える詐欺プラットフォームへビットコイン、イーサリアム、ステーブルコインなどを入金させた後、資金を即座に奪い取るか、偽の「利益」を演出して追加入金を誘い、最後は消えるという手口です。

ロマンス詐欺の脅威全体像

ChainalysisのCEO Jonathan Levinは、元FBI副部長James Barnacleとロマンス詐欺の脅威拡大について対談しました。対談では、詐欺オペレーションの進化、詐欺コンパウンドにおける強制労働の役割、公私連携の重要性などが語られました。

BarnacleはFBIの「Level Up」イニシアチブを取り上げ、数千人の潜在的被害者への事前介入で被害拡大を防いだことを強調。また、暗号資産の透明性によって資金追跡や詐欺ネットワーク特定が可能となり、詐欺の全サプライチェーン解明に役立っていると述べています。

HuioneとAI技術の役割

東南アジア詐欺エコシステムの複雑な連携により、Huioneのようなサービスプロバイダが重要な役割を果たしています。Huioneは2021年以降、約1,000億ドルの暗号資産トランザクションを処理しており、AIによる偽身分作成ツールからマネーロンダリングサービスまで、詐欺師のニーズを一手に担っています。

Chainalysisの調査では、2024年に詐欺テクノロジーベンダーが受け取った暗号資産は合計3億7,590万ドル、そのうちAIサービスベンダーは2021年から2024年で年率1,900%という驚異的な成長を記録しています。AIツールはリアルな偽身分や説得力のあるコンテンツ生成を支援し、詐欺の大規模展開を可能にしています。

法執行機関の捜査支援

ChainalysisはScam Center Strike Forceを構成する政府機関や、世界中の法執行機関によるロマンス詐欺対策をテクノロジー面で強力に支援しています。ブロックチェーンインテリジェンスプラットフォームを通じ、被害者の入金から複雑な資金洗浄ネットワークまで資金の流れを追跡し、詐欺オペレーターの特定、盗難資産の差し押さえ、訴追のための証拠収集を可能にしています。

当社の技術により、詐欺プラットフォームとその運営者、テクノロジーベンダー、資金洗浄業者、Huioneのようなサービスプロバイダなど、詐欺ネットワーク全体のインフラを可視化できるようになりました。資金移動のパターンを分析し、暗号資産アドレスと実世界の組織を結びつけることで、ネットワークの解体や被害資産の回収に貢献しています。Strike Forceが4億1,000万ドル超の暗号資産を差し押さえたことは、こうしたブロックチェーンインテリジェンスの有効性を示しています。

先端技術による詐欺対策

詐欺師がAI技術を活用して手口を拡大する中、対抗する側にも高度なツールが必要です。Chainalysis Alteryaは、ブロックチェーンインテリジェンスとAIによる不正検知を組み合わせ、リアルタイムで詐欺を特定・防止します。

金融機関や暗号資産事業者は、不審なパターンを検知し、被害発生前に詐欺トランザクションをフラグ付けすることで、顧客保護を強化できます。

暗号資産コンプライアンスへの影響

企業は、新たに制裁指定された組織や個人との取引に警戒を強める必要があります。すべての取引相手を最新のOFAC制裁リストでスクリーニングし、ロマンス詐欺に典型的な行動パターンや関連するテクノロジー、資金洗浄の兆候を監視し、見知らぬプラットフォームへの大口入金を行う顧客には強化されたデューデリジェンスを実施することが求められます。

Scam Center Strike Forceの設立は、米国当局がこれらの詐欺組織の撲滅に向けて、より協調的かつ積極的なアプローチを取っていることを示しています。4億1,000万ドル超の暗号資産がすでに差し押さえられ、詐欺拠点のリーダーや米国インフラに対する継続的な対策が進行しており、多面的な戦略で米国市民を守る態勢が整っています。

Chainalysis製品による詐欺対策について詳しく知りたい方は、こちらからデモをリクエストできます。

 

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